第2章 番号を背負わない隊長
尸魂界 瀞霊廷 12月25日
今日はクリスマスだ。
ツリーが一層輝き、隊舎前が色づく。
そんな事も関係無しに、私はいつも通りの身支度をして隊舎を出た。
「狐珀、緊張してるのか?」
隣にいる朽木副隊長が私の顔を覗きながら言った。
今日は2日前に決まった、新隊長の任命式だ。
私の意見は意味が無いようで、他の隊長等によって決定が決められた。
とは言え、護廷十三隊の全ての隊に隊長はいる。
どの枠に入るのやら...考えるだけで頭が痛い。
「いえ。」
極普通の隊士だった私が突然の昇任。
皆に伝えられた時は非常に驚かれ、妬まれた。
それに一々反応する私ではないが周りの目に声に、毎日イライラした。
前を見て歩く私の隣で、朽木副隊長は悲しそうな顔をする。
横目で見ただけだが間違いない。
彼女も妬んでいるのかどうか、何も言わない副隊長の気持ちはわからない。
何も言わず歩くこと数分。
各隊第10席から隊長までがいるであろう任命式場の前に着く。
朽木副隊長は最後に私の左手を握り、笑顔を見せて中に入っていった。
握られた手はまだ微かに暖かさを帯びている。
その手を静かに見つめギュッと握り締めた。