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【YOI】ほろ苦く、そして甘い予感【男主&ユーリ】

第1章 挫折と再会


貰ったボトルを開けながら、幾分か元気を取り戻した礼之は、暫しユーリと取り留めのない話をする。
「『サムライ』は今、日本にいるんだってな」
「はい、東京の広尾って所に家族で住んでます」
「トーキョーか!一度ショーとかスケート無しで遊びに行ってみてぇなあ」
「是非是非!僕、案内しますよ!」
嬉しそうに返す礼之を微笑ましくユーリが見ていると、ポケットに入れていたスマホが鳴った。
取り出して確認すると、純から「ユリオくん、こっちに来てたんやな。もしも礼之くんを見かけたら、教えてくれるか?」とメッセージが入っていた。
「今2人で休憩所にいる」と返事を打ちながら、ユーリは礼之に「『サユリ』がお前を探してるぞ」と知らせる。
「『サユリ』って、純さんの事ですか?プリセツキーさんは、あだ名作るの上手ですよね」
「そっか?」
「でも…僕は、『サムライ』以外の名称で呼ばれたいなって思う時があります」
「ひょっとして『サムライ』って呼ばれんの、イヤか?」
「イヤではないです。でも、プリセツキーさんには僕の名前も呼んで欲しいな…って。『礼之』でもミドルネームの『アレクシス』でも」
少しだけ表情を正した礼之の真剣な眼差しに、ユーリは思わず身構える。
「お、お前だって俺の事『プリセツキーさん』って他人行儀じゃねぇかよ」
「すみません。だけど、お名前の方はどうしても勝生さんを連想してしまって、かといって愛称で呼べる程貴方と親しい訳でもないし…」
モジモジと手を動かしながら言葉を続ける礼之に「こいつの中身はニッポンジンなんだな」とユーリが考えていると、もう一度純からメッセージが届いた。
「ゲッ、サユリだけじゃなくて、カツ丼やジジイもこっち向かってんのかよ?悪ぃ、俺先行くわ。またな!」
慌ただしく残りのホットチョコレートを飲み干したユーリは、空になったコップをゴミ箱に投げ込むと、勢い良く立ち上がる。
「あ、プリセツキーさん待って!靴紐解けてる!」
「え…?うぉっ!?」
「危ない!」
解けていた靴紐を思い切り踏んでしまったユーリは、バランスを崩し前のめりになる。
慌ててユーリを止めようとした礼之だったが支えきれず、そのまま2人の身体は休憩所のソファに倒れ込んだ。
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