恋に落ちる瞬間は(仮)[ONE PIECE/サンジ]
第3章 過去と今
「ー…っ、ー……!」
「ん…」
何やら騒がしい声で目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。私は目をこすりながらゆっくりと起き上がる。
「あ、そっか…」
昨夜の出来事を思い出し、またぱたりとベッドへと倒れ込むとまたあの香りが私を包みこんだ。
「いい匂い……」
すぅっと身体中で吸い込むとまた心臓がドクドクと鼓動を始めた所で、何かの気配に気付いた私は勢いよく起き上がると扉へと視線を向けた。
「や、やぁ…おはよう」
「あ、あ……き、きゃーーーーっ!」
そこに立っていたのは照れ臭そうに頭をかいているこの毛布の持ち主であり、この匂いの主であるサンジさんだった。恥ずかしさのあまり、私は思わず悲鳴をあげてしまった。
「え、ちょ、サーシャちゃん?!」
「な、何事?!」
慌てるサンジさんの横から顔を覗かせたのはオレンジ色の髪をした綺麗な女の人だった。それに続いてなんだなんだと人が集まって来る。
「サンジくん…あなたまさか」
「ち、違うんだナミさん!俺はただ彼女を起こしに来ただけで!」
じとっとナミさんと呼ばれた人がサンジさんを睨む。額に汗をかきながら誤解を解こうとしているサンジさんの横を黒髪のこれまた綺麗な女の人が通り過ぎて私の近くへとやって来た。
「あなたがコックさんの言っていた女の子?」
「え、えっと、私は…」
にこりと笑いかけられた私はその綺麗さの言葉を詰まらせ、手元にある毛布をぎゅっと握りしめて下を向くと、黒髪の人は困らせちゃったかしらと後ろへ下がってしまった。
「そう!この子はサーシャちゃん、さっき話した昨夜ルフィが壊した店の子だ」
「この子が…、サンジくん本当にこの子に何もしてないのね?」
「ナミさァん…何もしてねェって」
黒髪の人と変わるように私の横へ来たサンジさんが慌てて私をみんなに紹介してくれるも、未だナミさんからの疑いの目は晴れずとうとう膝をついて凹んでしまった。
「ん?何かサーシャからサンジの匂いがするぞ!」
「えっ?!」
「「えぇっ?!」」
ぴょこんとベッドに飛び乗って来たたぬきのような物体に驚いてしまったが、私よりもみんなの方がその発言に驚いてしまった。
「エロコックが…」
「サンジくん!!」
「だから違うってェー!」