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恋に落ちる瞬間は(仮)[ONE PIECE/サンジ]

第1章 貴方と出会った、その刹那




海賊、その言葉に反応する。なんとも懐かしい響きだ。この村に来る前は私も海賊だった。そこそこ強い海賊のクルーだったが、船がグランドラインを越えられず大破し船長や私を含めたクルー全員が大海原へ放り出されてしまった。そして気づいた時にはグランドラインを超えていてここへ漂流していたのを村のみんなに助けてもらった。海賊だったから海軍との応戦の大変さは知っている。 そう思うと先程までの悲しさは自分でも驚くくらいにどこかへいっていた。そしてどこか安心している私がいた。


「私も海賊でした」

「え、君が?」

「もう5年も前の事ですけどね」

「なァ、お前名前?」


船に乗っていた頃を思い出しながら笑って見ると、麦わら帽子の人が私の名前を問う。


「私はサーシャです」

「サーシャか!俺はモンキー・D・ルフィ!んでこっちがサンジ」

「よろしく、サーシャちゃん」

ルフィさんがスーツの人、サンジさんを親指でくいっと指差す。サンジさんはにこりと笑い一歩下がると、ポケットから煙草を一本取り出し先端に火をつけた。そして一息吸うと口からゆっくりと白い煙を吐き出す。その姿があまりにも様になっていて私はつい見惚れてしまった。


「おーい?」

「え、あ、えと、すみません…」


ぼーっとサンジさんを見つめる私の顔の前でルフィさんがひらひらと手を振る。


「サーシャはこれからどうするんだ?」

「え?」

「店を壊したのは俺だけどよ、行く当てとかあんのか?」

「あ…いえ…」


私には頼れる人も行く場所もない。5年前になくなってしまった。どうしようかと項垂れるように顔を下げると、視界にサンジさんが入ってきてそのまま跪き私の手を取った。


「サ、サンジさん…っ?」

「とりあえず今晩は俺たちの船においで」


いいだろ?とでもいう風に、サンジさんがルフィさんに視線を送った。


「もちろんだ!」


ニシシっと笑うルフィさんの笑顔を見て涙が出そうになったが、サンジさんに握られてる手にぎゅっと力が込められそちらに視線を移す。するとサンジさんが嬉しそうに目を細めて笑いかけてくれた。




存在を隠していた心臓がまたその存在を知らせるかのようにドクドクを大きく早く動き出す。


…私は出会ったばかりのサンジさんに恋をしてしまったようだ。







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