恋に落ちる瞬間は(仮)[ONE PIECE/サンジ]
第3章 過去と今
「時間か…」
3時間程しか寝ていない身体を起こし、毛布代わりにかけていたカーディガンを畳み枕の横へ置く。眠気の残る頭をガシガシをかいて部屋を出れば、いつものように薄暗い廊下を音を立てない様に歩きだす。2つ隣の部屋の前に来て耳を傾けると、とても小さな規則正しい寝息が聞こえて来て、色々あったが眠れているようだと安心した俺はキッチンへと足を進めた。
「さてと…」
腕まくりをしながら目の前にあるコーヒー豆と茶葉を見つめる。ナミさんやロビンちゃんより幼い彼女はコーヒーより紅茶を好むだろうか。彼女の事を考えながら、手際良く各クルーの朝食といつもはしない紅茶の準備を済ませる。ふと時計を見ればもう2時間も経っていたことに気付き、驚いた。いつもはクルー全員の事を考えて作っているのだが今日は彼女の事しか考えていなかった。自分でも不思議に思いながら食器と椅子を一つ多く準備した直後、新聞を片手にしたナミさんとロビンちゃんがダイニングへと姿を現した。
「おはよう、サンジくん」
「おはよう、ナミさん、ロビンちゃん」
「あら、今日はメロリンしないのね」
「食器や椅子が一つ多いのが原因かしら?」
そう目敏くロビンちゃんが笑みを浮かべながら言ったところで、ぞろぞろと他のクルーも集まってきた。ひとまず、後で話すからと答えて食事を配る。
「あーちょっとみんなに聞いて欲しい事があるんだ」
ある程度食事が進んだところで声をかけてこちらに集中してもらう。ルフィだけはガツガツをメシを食っていたが、まァ、こいつはいい。
「昨日の海軍との応戦中にルフィが飛んでいったのは知ってるよな?」
「あァ、もちろんだ」
「俺はルフィの後を追ったんだが、こいつと来たら店を一つ破壊させやがった」
「店?」
率先して、俺の話に反応してくれるウソップを見ながらこくりと頷く。
「その店にはレディが一人いて、今この船にいる」
「ここに?」
「行く当てがないみてェだから一時的にな」
「大丈夫なの?その子、怪我とかは?」
「怪我?!怪我なら俺が診るぞ!」
ナミさんの放った言葉に反応したチョッパーが勢いよく椅子の上に立つ。
「怪我はねェから大丈夫だ、じゃあ彼女を呼んでくる」
チョッパーの頭をひと撫でしてダイニングを後にした俺は彼女へいる部屋へ向かった。