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第18章 近付いた背中(後編)[金城真護]


インターハイ2日目。
スプリントリザルトは御堂筋君と箱学スプリンターの新開さんが競い、両者1歩も譲らずの攻めあいの末にリザルトを獲得したのは御堂筋君だった。それで勢いに乗ったのか、2日目の山岳リザルトも御堂筋君が獲得。6人揃った箱学、途中リタイアしかけた田所先輩を小野田君が引いて無事合流しトップに追いついた総北、そして勢いに乗った御堂筋君。ゴール争いはそれぞれのエース対決になり、一瞬前へでた御堂筋君だったけど金城先輩と福富さんの圧倒的熱量に負け、金城先輩と福富さんの一騎打ち。結果は本当に僅差で福富さんの勝利に終わった。
「金城先輩!」
「雪音か」
「だ、大丈夫なんですか?膝痛めたんですよね!?」
「雪音落ち着け!いまマッサージして和らげてるところだ」
「手嶋くん…ごめん…」
「心配かけてすまないな。だが大丈夫だ、明日も勿論走るさ」
「金城先輩…」
手嶋くんのマッサージに時折顔をゆがめるその姿に、私は何も言えなくなった。
こんな状態になってまで、それでも大丈夫だと言い聞かせている。
(そんなに痛むほど酷使して…大丈夫なはずないのに…)
それだけ思いが強いということなのだろう。それならば、私もやれることをやらなければ。
「手嶋くん代わってもらってもいいですか?」
「え?でも…」
「お願いします」
「雪音…?」
「これでも少しでも役に立てるように勉強したんですよ?膝を痛めた時のほぐし方とか、足の方を中心的に」
私がそういえば金城先輩はそれ以上は何も言わず、ただ受け入れてくれた。
明日、少しでも万全に近い状態で送り出せるようにするのが今の私の役割だ。
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