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第18章 近付いた背中(後編)[金城真護]


そしてあっという間に2ヶ月が過ぎ、いよいよインターハイ当日。
初日、スプリントリザルトは箱学の泉田君と総北田所先輩と鳴子君3人の接戦の末に田所先輩がリザルト獲得。山岳リザルトも因縁だという箱学の東堂さんと巻島先輩が競い、ほんの僅差で東堂さんがリザルト獲得。そしてゴールを切ったのは、後半に驚異的な追い上げをしてきた京都伏見の御堂筋君、箱学エース福富さん、総北エース金城先輩、この3人が同着という異例の結果となった。
初日だというのに皆必死にペダルを回して結果を勝ち取りに行っていた。最後のインターハイにかける3年の強い思い、そしてそれに答えようと奮闘する1年の意地。それらは私にとって眩しいものに感じた。
「1日目お疲れ様でした金城先輩」
「ありがとう。だが、あと2日ある。まだまだこれからだ」
2日目の明日は今日よりも過酷なレースになるだろう。ただでさえ強い陽射しの照り付ける中を長距離走り続けるのだから。
「明日もゴールで待ってますね」
「ああ。倒れないように気をつけろよ」
「はい。…あの、金城先輩」
「どうした?」
「3日目の最終日、レースが終わったあと少し時間貰えませんか?」
私からの申し出に金城先輩は少し驚いた顔をしたが、すぐに真剣な表情になり頷いてくれた。
「…俺もだ。最終日、もし王者箱学を破って優勝できたなら…雪音に話したいことがある」
「信じてます。誰かが欠けたとしても、何があったとしても、総北が1番にゴールのラインを走り抜けてくれるって。私、信じてますから!」
「その期待に答えられるよう、俺も全力を出そう」
そして私たちは強気な笑みを浮かべて笑いあった。
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