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第15章 ○○しないと出られない部屋[煉獄杏寿郎]


「どう、しましょう…」
「現状、この司令というのをこなすしか脱出の方法はあるまい。雪音よ、腹をくくれ!」
「ほ、本当にやるんですか!?」
「なに、殺し合いをしろというわけでもないんだ。ただ、この菓子を両側から食べ進めれば終わりということなら手早くやってしまおう!」
(案外やる気満々だなこの人!!)
「では行くぞ雪音」
「え、ちょ、まっ、むぐ!?」
有無を言わさず菓子の片端を雪音の口に突っ込み、そしてもう片端を煉獄が口に含んだ。
一気に近付くその距離に、雪音は軽くパニックになっていた。
(近い近い近い!!ちょ、本当に近いって!!ああああ!心臓うるさい!!煉獄師範に聞こえでもしたら私恥ずかしすぎて死ぬ!!!)
いま双方の口を繋いでいる1本の甘いお菓子。しかし、雪音は甘さなど感じていられないくらいに焦り、そして赤面していた。
(なんなのこの拷問!?この血鬼術の鬼見つけたら承知しないからな!!)
やがて耐えきれずにとうとう目をつむってしまった雪音。そんな雪音を煉獄は目を細めて愛おしそうに見つめていた。
(よもや、このような表情を見られようとは。不謹慎ながら得した気分だな)
ポリポリと小さく音をたてながら次第に近づいていく距離。
体を硬直させてひたすら耐える雪音がだんだんと腰が引けてきているのに気づき、煉獄はそっと腰元に腕を回した。
それに驚いた雪音は体をよじらせ、その動いた衝撃で間近に迫っていた距離が詰められた。
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