• テキストサイズ

短・中編集

第15章 ○○しないと出られない部屋[煉獄杏寿郎]


「んぅ!?」
「っ!」
だがいのそれが触れた瞬間、永遠のようにも感じられる刹那の後。バッ!と互いに顔を逸らした。
(嘘でしょ!?い、いま…!いま…!!)
(ま、まさかあそこで急に動くとは…。ふ、触れてしまったが嫌がってはいないだろうか…!)
へたりとその場に座り込む雪音。
互いが赤面しながら無言でいる中、不意にガチャリと扉の方から解錠の音が聞こえた。司令を達成したとみなされたのだろう。
「ぁ…扉開いたみたいですね!」
「う、うむ!再び施錠されるとも限らん。早く出るか!」
「ですね!!」
「さぁ、俺の背に乗るといい!立てないんだろう?」
「ぇ…?」
そう言われて向けられた大きな背中。赤面した顔を見られずに済むのはいいが、これはこれで気恥しいのだが…。
「お、お言葉に甘えて…」
1人だけ置いていくという選択肢は彼の人柄からしてないのだろうと考え、気恥しさを必死に押し殺して彼の背に乗った。
外に出ると周囲は木々に囲まれてるが、見覚えのある気が目に入り炎柱邸近くだと分かった。空を仰ぐとすでに日没に近い時間のようだった。
(はぁ…本当になんだったのかしら…)
未だにうるさく高鳴る胸。
歩みに合わせて揺れる煉獄の背中で、ちらりと見えたその耳が微かに赤く色付いていた事に気づいた雪音。
確かに気恥しさは残っているが、珍しく照れている煉獄を見ることが出来た。緩く口元を綻ばせ、再び空を仰ぎみた。
一陣の冷たい風が、火照った2人の熱をさらうように吹き抜けていった。
/ 91ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp