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第15章 ○○しないと出られない部屋[煉獄杏寿郎]


とある日の昼下がり。突如としてそれは起こった。
「………どこですかここ」
炎の呼吸の修行に入って約半年ほど経った。
住み込みで滞在させていただいている炎柱邸にて、昼餉(ひるげ)を終えて私は昼寝をしていたはずだ。
しかし、いざ目が覚めてみたら視界には天井と思われる真っ白な壁。体を起こして周囲を見渡してみても真っ白な壁、壁、壁――いや、長方形の枠のようなものと机が置いてある。遠目でよく見えないが、枠には何か文字が書かれているようだ。
「む…?」
「!――て、ぇ?煉獄師範!?」
背後を意識せずにいたからか彼の存在に気づかなかった。この白い空間にはどうやら私たち二人だけが囚われているらしい。
「雪音か…?ここは一体…」
「それが私にもさっぱり…。屋敷で昼寝をしていたはずなのですが…」
「ん?あそこに何かあるな!」
煉獄師範も例の長方形に気づき、2人で近づき内容を確かめた。

『司令を達成しなければ出られない部屋
司令→机の上にある菓子の両端を互いにくわえ食べ進めろ』

(な、なななな、なんですかこのふざけた司令は!!?)
(これは…下手をすれば接吻になってしまうのでは…)
2人して固まる。否、これは固まってしまうのも仕方ない。この説明通りならば下手をすれば双方の唇が触れてしまう。
しかし流石は炎柱と言うべきか、雪音よりも先に硬直から状況把握という行動を起こした。
「どうやら、外側から施錠されていて内からはどうにもできないようだな」
「そ、そんなぁ…」
出口と思われる扉をガチャガチャと確かめても開く気配はせず、そして日輪刀で何度か壁を斬りつけてみるも手応えはなし。血鬼術の可能性が高いが、炎柱が斬りつけても手応えがないのなら雪音がやっても同じだろう。
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