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第10章 機械仕掛けの恋慕[10年後スクアーロ]


ボンゴレに敵対するとあるファミリーを潰しに向かった先で、直に終わると思われた頃のことだった。
まだ息のあったファミリーの構成員だった一人の男がスクアーロ様の背後から銃口を向けているのが見えた。
咄嗟の行動だった。考えるよりも先に勝手に体が動いていた、というのはまさにこの事なんだろう。
「スクアーロ様っ!」
どん、と背を押し、銃弾を避けさせる。私は所詮クローンだからいいが、彼は生身。そして換えの効かぬ存在なのだ。
「雪音!?クソッ!」
彼は男を切り付け完全に沈黙させ、私を抱き起こした。どうやらあの男で最後だったようだ。
「雪音!意識はあるか!雪音!!」
「は…い…」
身代わりとなってこの身体に受けた鉛玉は2発。1発は右脇腹、そして1発は…恐らく左肩甲骨付近。即死していないところから察するに心臓までは到達していないようだ。
だが些か出血が多いらしい。視界が霞んできた。
「スク…ロ、様…。にん、むの…報告、を…」
「いいからそれ以上喋るんじゃねぇ!」
嗚呼、この人はなんて優しいのだろう。
この人に出会えて、この人と日々を過ごして、戦うことしか知らなかったモノクロの世界は次第に色付き、貴方のおかげで私の世界は鮮やかな色に染まった。
苦しいくらいに締め付けられる胸の痛みを感じながら、私は彼への思いを口にしていた。
「スク、アーロ…様…。私は…あなた、を…お慕い…してまし、た…」
それだけ伝えると、私の名を呼ぶ彼の声を最後に私の意識は途切れた。
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