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第10章 機械仕掛けの恋慕[10年後スクアーロ]


閉じた瞼を刺激する眩しい光に目を開ける。
(あれ…ここは…)
まず視界に映ったのは見慣れた天井。視線をめぐらせるとある一点で止まった。私の手を祈るように握っている特徴的な白髪の人。思い当たる人物は一人しかいなかった。
「スク、アーロ…さま…」
するりと口から出た声は掠れていた。それでも私の声に気づいた彼はハッとしてこちらを見た。
「意識戻ったか!」
「はい。…あの、私はどのくらい眠ってたんですか?」
「ざっとまる3日くらいだ」
「3日!?そんなに寝てたんですか…」
まる3日間ずっとついててくれたのだろうか。
「そ、そうだ。今医者を…」
今まで握られていたぬくもりが離れてしまう、そう思ったら手は自然と彼の服の裾を掴んでいた。
「雪音…?」
「ぁ…ご、ごめんなさい!」
慌てて手を離すが、スクアーロ様は少し間を置いてベッドの端の方へ座り直した。
「…そういえば俺の答え、まだ言ってなかったな」
何のだろうかと思い出してみた。そういえば私は意識を失う直前に告白まがいのことを口走っていた気がする。
「俺はお前をここに連れてきた時、本当は部隊の戦力強化になればいいとだけしか思ってなかった。だが、クソボスにお前の世話を命じられて雪音の事を知っていくうちに…いつの間にか惹かれていたんだ」
いつの間にか惹かれていた?今彼はそう言ったの?
信じられない。夢みたいだ。いや、これは本当は都合のいい私の夢なのではなかろうか。
「夢…じゃない…?」
そういった私の声は微かに震えていた。
未だに信じられないという顔をしていると、口元に柔らかくあたたかい感触。そしてドアップになったスクアーロ様の整った顔。
―――――口付け、されている。
「これで信じられるか」
嗚呼、私はなんて幸せ者なのだろう。自然とあふれた涙を気にすることなく、私はスクアーロ様へ笑みを向けた。

「「Ti Amo」」

―――――それは、愛するものへ贈る言葉。
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