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第3章 白銀に染まりゆく(ブロドキン)


扉が閉まる音で雪音達が帰ってきたことに気づき玄関へ目を向けた。
「おや、案外早かったですね」
「あー…うん、まぁ。風邪ひいてアガリ達に迷惑かけたくないから…」
そう苦笑しながら言う雪音にどこか違和感を感じつつも、それが何とはキャタナイン自身にも分からず、少し首を傾げるだけだった。
そして扉が閉まり、再び開いた先には心做しか落ち込んでいる風なブロドキンが姿を現した。
無言で両者を見比べたアガリは合点がいったようだ。
「…ブロドキン。お前、また雪音に誤解されたな?」
「…お前には関係ない」
「関係あるさ。雪音は俺のパートナーだ。パートナーである以上、拷問具との揉め事は早期解決しておく必要がある。…俺を相手にしているじゃあないんだ雪音に対する言動には気をつけろと前々から言ってあるだろう?」
アガリの言い分にぐっと押し黙るブロドキン。
窓辺に椅子を持っていき静かにただ窓の外で降り続く雪を見つめている雪音の方を見やる。
いつもの溌剌(ハツラツ)とした雰囲気はなく、今は周りと関わることを拒んでいるようにも見えた。
――――少しは素直になれ、ブロドキン。
そう言い残してキャタナインと共に部屋を出て行った主を複雑に思いながら窓辺の少女へと近付く。
「ねぇブロドキン」
その時、雪音が口を開いた。
「私…アガリの邪魔になってないかな…?」
淡々とした声だった。
先ほど外にいた時の年相応な雰囲気はなく、それは大人びていた。
「アガリは私に留守番していろって言ってよく置いていくけどさ、それって私が邪魔になるから…だよね?」
危険と隣り合わせの場では守るべき対象が少なければ少ないほどやりやすい。足でまといにしかならないであろう私は現場に連れていくことに気が引けるのだろう。
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