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第3章 白銀に染まりゆく(ブロドキン)


「雪だ…!」
都内某所にあるマンション。その一室で窓に張り付き、目を輝かせる雪音。
そしてベッドで未だ寝ている同居人に声をかける。
「ねぇねぇアガリ!雪だよ、雪!外行ってきてもいい!?」
「ああ。知らない奴に話しかけられても付いて行くんじゃないぞ」
「はーい!」
元気に返事をしてパタパタと駆けていく雪音を見送り、そばで同じく見送っていたキャタナインはアガリに問うた。
「…誰か一緒に行かせなくてよかったのですかアガリ?」
「まぁ大丈夫だろう」
それでもやはり心配なのか、窓から雪音の様子をこっそり伺うキャタナイン。
マンションの前を走り回り、躓いて転んでも立ち上がり、そしてまた走り回る。
「――応えろ ブロドキン」
背後から聞こえたその言葉に反応し、キャタナインが振り返るとそこには黒髪の長身男性が佇んでいた。
「ブロドキン。雪音が外に遊びに行ったから付いてやってくれ」
「…よもや俺を子守に使うとは…いい加減にしろアガリ!!」
「アイツが一番懐いてるのはお前なんだブロドキン。頼むよ」
「――――後で覚えていろよ」
ドスのきいた声でそう一言いうと、ブロドキンは部屋を出て雪音の元へ向かった。


「おい雪音!」
「へ?あれ、ブロくん?なんで??」
「アガリにお前の子守をしろと言われたんだ!」
「子守って…私そんなに子供じゃないんだけど」
むぅ…と頬をふくらませる雪音。
「…まったく。そんな薄着で外にでて風邪でも引いたらどうする」
「…意外。ブロくんが気にかけてくれるなんて」
「っ…別に気にかけてなどいない!お前が体調を崩したらアガリに負担がかかるだろ」
「――そう、だね…ごめん。もう戻るよ」
しまった――そう思ったが既に遅く、俯き気味に横をすり抜けて歩いてゆく少女を追った。
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