第1章 碓氷真澄
あの後真澄くんは今まで見たことのない速さで学校に行く支度をし、寮を出ていった。
まぁ真澄くん、あれが通常運転だし気にしなくていっか。
と舐めていた自分を殴りたい。
日も暮れはじめ、そろそろ学生組の授業が終わった頃かなぁと時計をみていると
ガチャ
とドアの開く音がした。
まだ誰か帰ってくるには早いなと思っていたら
ドアの方を振り向く前に後ろからギュっと抱きしめられた。
まさか
真澄「はぁ、監督ただいま、会いたかった…」
「ちょっ、真澄くん?!まだ授業終わったばっかりじゃ」
真澄「アンタのために終わった瞬間ダッシュした…はぁ、驚く顔もかわいい」
学校から寮まで結構距離あるはずなのに…はやすぎる…
なんて悠長に考えている間に、後ろから抱きついていた真澄くんは離れていて
「きゃっ!!ちょっと、おろして!!」
油断した…
真澄くんは私の正面に回って、俗に言う お姫様抱っこ をしてきたのだ。
「真澄くん?!」
「ちょっと!おろして!!」
何も答えず、私をお姫様抱っこしたままスタスタと歩く真澄くん。
たどり着いたのは真澄くんと綴くんの部屋。
あ、今は寮に誰もいないんだ…
これは危ない。