第1章 04月25日
風丸くんは小走りに駆けていきながら手を振ってくれた。彼とは去年、クラスが一緒で席が近いことが多かったりと話す機会が多かった。そのおかげか2年になってクラスが離れても、お互いの姿を見かけるたびに声を掛け合うほどの仲だ。
もしかしたら、風丸くんが運動管理委員会の副委員長かも!と期待していたがそうでなかったらしい。半田とは小学生ぶりにクラスが同じになったけど全然話さないし、今日の放課後の生徒会の集まりちよっと不安だなあ。
実は今日早く来たのは日直だからというわけだけではなく、放課後にある生徒会の顔合わせの資料を作るためだった。
「どうして、わたしが副委員長になっちゃったんだろ〜ハア〜」
下駄箱で靴を変えながらため息をつく。本当は目立つことは嫌いだしこうゆう役職みたいなのは可能な限り避けたかった。
そもそもわたしが副委員長になってしまったのは雷門中独自のめんどくさい生徒会制度のせいだと思う。
各委員会では委員長を1名、副委員長を2名選出している。基本的には3年生から委員長と副委員長を1人ずつ、副委員長のもう1枠は必ず2年生から出すというのがオーソドックスな形だ。
1年生は全員何かしらの委員会に所属しなければならないが、2年生からは自由参加のため、2.3年の委員数はガクッと減ってしまう。
わたしの所属している会計委員会の2年生はわたしを含めて2人しかおらず、しかも1人は転入生だ。昨年から引き継がれた委員であるわたしは満場一致で副委員長に推薦されてしまった。
もはや会計委員会に入らなければ良かったと思ったけど、思った頃にはもう遅くてアレヨコレヨと副委員長として激務に身を投じているわけだ。