第1章 04月25日
急いで準備をしたわたしは予定通り家を出ることができた。おかげさまで先生に呼ばれていた時間にも間にあいそうだ。
「おはよう、千尋!」
「かっ風丸くん?!朝早いんだね、おはよ」
「まあな、俺は朝練の休憩中だよ。千尋こそ朝にいるのは珍しいな」
急に声を掛けられたことに少し驚いてしまった。こんなに早く登校するのはなんだかんだ初めてだったと思う。陸上部が毎朝7時半から練習していることすら知らなかった。
「今年の担任、日直は8時10分までに職員室に来いってうるさくて…」
「ん?その時間ならこんなに早くなくても良かったんじゃないか?あと30分以上あるだろ?」
「確かにそうかもなんだけど、ちょうど委員会の仕事あったりしたから早く来たいな〜って」
「会計委員会、忙しそうだもんな。うちの学年、今年少ないし…」
「そうなんだよ!うちらの代、転校生のゴーエンジくんとわたしの2人しかいなくて、去年からやってるのわたしだけだからって副委員長になっちゃった」
風丸くんはわたしの言うことなんてきっとどうでもいいと思っているはずなのに、ウンウンと頷きながら大変だなと声を掛けてくれる。なんて優しい人なんだろう。結婚するならこうゆう優しい人がいいな!
「俺も2年目だし、もしかしたら…って思ってたんだけど、運動管理委員会は俺じゃなくて半田が副委員長になったんだぜ?知ってた?」
「えっ、そうなの?!生徒会の顔合わせまだだったし全然知らなかった〜、勝手に風丸くんだと思ってた!半田が副委員長なの?!」
あの半田が副委員長とは驚きを隠せない。てっきり風丸くんが副委員長になったのだとばかり思っていた。確かに半田も去年に引き続き今年も運動管理委員会ではあったが、半田はあまり人の上に立つのが得意ではなさそうなイメージだった。わたしも得意じゃないんだけどね。
「俺、こう見えても部活忙しいしな。サッカー部ならなんとかなるだろって先生の推薦だよ」
「まあ確かに。サッカー部は暇だもんね〜」
「…やべ、もうすぐ休憩終わる!俺もう部活戻んないとだから…まあ、半田にもできる仕事みたいだし無理せずがんばれよ!じゃ、またな」
「風丸くんありがと、また時間あるときゆっくり話そうね〜」