第7章 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば…
貴女side---
耳元で、誰かの息づかいが聞こえる。
目を覚ますと、私は晋助の腕の中にいた。抵抗しようか、とも思ったが、私は結局、これを諦めた。
どっちしろ、重くて辛い腰のせいで、
どうにも動くことができないからだ。
寝たふりを止めて、恐る恐る目を開ける。晋助の片方の眼が、優しい光を灯していた。
そう、まるで愛しいものに対して向けるような、
そんな目をしていた。
やめて、そんな目をされたら…
私は…私はまた、あなたを信じてしまいそう。
いたたまれなくなって、私から視線をはずした。すると、私の肩を抱いていた彼の腕に、力が入る。
私は、その手を降りきることができなかった。なぜなら、私の心のどこかで、それを喜んでいるから。
そう、どこかで望んでいた、
彼の手。
今、ここにある。