第7章 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば…
貴)…誰ですか、それ?
必死で取り繕うも、
私の動揺は、すでに彼には
読まれていたようだ。
高)ほォ……誰ですか、かィ。
体に聞いてみてもいいんだぜ?
彼の手が、着物の着合わせにかかる。
耐えきれず、綻びはじめる糸。
高)さァ、どうする?
妖しく微笑む、彼。
貴)わ、分かりましたッ。
私が女であることは、認めます。
一呼吸おいて、こう言う。
貴)でも、私は…久坂… 双葉、ではありません。
すると彼は、大層意外だ、という顔をして、その手を離す。
高)そうか、では問題ないなァ?
貴)な、何がですか?
彼の手が、またいつの間にか、
着合わせにかかっている。
…え?
今なんて?
貴)な、なんでこのままなのですか?
離してください。
高)ほォ?総督に楯突くたァ、
いい度胸じゃァ、ねェか。
ちょうどいい、部下の躾といこうかァ?
貴)お、お待ち下さい!
楯突いたことは、謝ります、あと
躾はしなくていいです。
離してくだされば、もう何も言いません。
高)残念だが、離す気は、毛頭ねェよ。そしてお前には、一生オレのものだ。オレの見込んだ女だからな、
貴)なッ!
着あわせが、剥がされる。
包帯巻きの上半身が露わになる。
貴)ひャァッ!
なッ、何するんですかッ!?
何言っているのか、という顔をして、
彼は答えた、
耳を疑うような言葉と共に。
高)何、って、決まってんだろォ?
生涯、オレの側にいてもらうんだよ、
お前に。
そう言いながら、
彼の舌が、首筋を這う。
つい口から溢れそうになった喘ぎ声を、必死で抑える。
高)なぜ声を抑える?
聞かせろよ、お前の声を。
抗議をあげようと、口を開いた瞬間、
彼の手が、胸にかかる。
乱暴に、でもじわりじわりと
解されていく。
貴)ャァッ!ッ…やめ…ひャァァ!
情けないほどの矯声をあげてしまい、
恥ずかしさのあまり、
顔を赤らめる。
高)そうだ、我慢なんてするな、
大人しくオレのもんになれ。
貴)ぜッ…絶対に、ィ嫌だ、
アァァッ!
彼の手が、門を抜けて、
入り口まで攻めこむ。
高)そうかァ?
下のお口は素直なのになァ、
意地なんて、なるもんじゃねェよ。
貴)…ッ!