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"Yes, I...

第1章 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし…


私は、物心ついたときから
1人ぼっちだった。


生きていくには、他人をも、殺した。
また私の風貌からか、

周りの大人たちは、こう言う。
「夜叉の子」と。

天人のハーフなのでは、

などと根も葉もない噂を流され、
決して輪の中には入れてもらえなかった。

だがその中で、「仲間」は、できた。
だが私は女。

男の彼らの遊びにどこまでも、
ついていける訳がない。


師は、優しかった。

だがその師、吉田松陽は
幕府に捕まってしまった。

いや、皆は知らないが、
わたしのせいで、彼は捕まってしまったのだ。わたしのせいで…。


…私は、元は奈落の者だ。

天嶂院奈落。


私は…彼らから師を奪った。
仲間を裏切ったも同然。


だが、今回は 独りぼっちでは、ない。

なにも知らないとはいえ、
今の私には、「仲間」がいる。


共に師を救いださん。

と、決起し、攘夷戦争を共に戦った仲間が。だが、もし彼らがこの事実を知ったとき、彼らは一体、
どんな反応をするだろうか?



だが、戦況は悪くなって行く一方で、
どんどん、仲間が死んでいく。




あるは亡く 泣きは数添ふ 世の中に
あはれいづれの 日まで嘆かむ



いっそのこと、私が死んで、
この世の生活に終止符を打とうと、

明くる日も明くる日も、
ひたすら戦い続けた。

が、私は決して、死ぬことができなかった。私には、死ぬことすら、
許されないのだろうか…。


散りゆかむ 友の命の 傍らに
立ちし我が身に 紫煙ありなむ



いや、そもそも私には、
仮に私が死んだ時に、
私を弔ってくれる者など、
いるのだろうか…。
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