第1章 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし…
ある日の午後、
私は、歌舞伎町の大通りの、
ある茶屋に寄って、
大好きなお団子を、頬張っていた。
紅い胸までと、腰からスカートになった着物を身に纏ったその女性と一緒に、楽しげに話しながら 通りすぎていく。
私はこの身を、あなただけに捧げる、
と決めていたのに。
あなたを信じていたのに…。
胸が張り裂けそうだった。
嫉妬と怨念が、わき出てくる。
願ってもいないのに。
自然と、涙が頬を伝う。
私は、あなたに捨てられていたのね。
確かに私は、あなたが好きで、
あなただけに一途なつもりだったわ。
でもあなたは、違ったみたい。
私は、あなたにとってはただの、
「友達」にしか、過ぎなかった。
いいわ、それで。
いや、その方が よかったのかもしれない。あなたが幸せなら、私はそれで、
いいと思うわ。
これで、吹っ切れる。
偵察から戻った私は、
屯所にある、自分の部屋に戻っていた。
攘夷戦争後、私は行く当てもなく
ふらふらしていたのを、
真選組の局長さんに、拾われた。
拾ってもらった恩は、感じてる。
でも、その温情に甘えてしまっていいのか…。
元は攘夷志士の、私を?
だが、副長には、嫌われているように感じる。自分では、なぜ嫌われているように感じるのかは、
自分でも、よく分からない。
総悟が引き取ってくれねば、
私は…自殺していたかもしれない。
彼の、副長への対抗心が、
私を救ってくれた、といっても
過言ではないだろう。