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"Yes, I...

第3章 あらたまの 明くる年々 待ちわびて…


逆光に目が慣れてきて、
その姿が、明らかになる。

…!
その人の特徴は、
幕府に最重要指名手配されている、

彼だった。



総)た…かすぎ…
なんでお前が、
ここにいるんでィ?


高)今日の月が、やけに綺麗でなァ。
つい来ちまったァ。


総)な…んで…?

高)断って、くれるなよォ…?

隣に、座ってきた。



いつもなら、速攻で捕まえに行くところだが、今はなぜか、そんな気がしない。

高杉に一瞥すると、
オレはまた、月を見る。



高杉は、オレの心を読んでいるのか…?それを知っている上で、
わざと、隣に座ったのだろうか…?



大空は 梅のにほひに かすみつつ
曇りも果てぬ 春の月の夜




月にいくら問いかけても、
彼女は、一向に口を開かない。


なぜだろう、

涙が頬を伝う。


理由は、分からない。



オレは、なにか相当な
無理をしていたらしい。




伝っていた涙を、温かい何かが、
拭いとる。

ふと見ると、
それは、高杉の手だった。


総)なんでィ?
何が望みなんだ、たかす…ッ!



高杉は、それ以上はなにも言うな、
と言わんばかりに、

オレの唇を塞ぐ。


月夜に、水音だけが、響く。






目の前にいる彼が、
敵対する攘夷志士なんかではなく、

まるで恋人のような、錯覚を覚える。



息が苦しくなって、
高杉の、胸を押すが、
ピクリとも動かない。



いっそのこと、
彼に、すがってみるか…?
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