第3章 ✳第一条✳ まずは見た目の変化から
心「そーいえば、水城先輩とはどうだった?」
心は、ニヤついた顔で聞いてくる。
水城先輩とは、もちろん
私の好きな「水城祐介」先輩のことだ。
恋禽「もぅ…!知ってるくせにぃ…」
私は泣いているふりをして、うつぶせになった。
心「よっ。さすが不戦敗」
ははっ。と笑う心の声は、私を笑顔にさせる。
恋禽「こら!余計なことは言わないのっ!そのための化粧なんだから」
心「あぁ、そういうことか。なら応援するよ」
恋禽「じゃあ、もっと頑張らなくちゃね」
私たちは、担任の先生が入ってくるまで話し続け
入ってきてからも話し続け。
…怒られてしまうのであった。
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放課後。
帰ろう、と鞄を持って席を立った瞬間
心「あれ、恋禽帰れるの?今日部活って言ってなかったっけ?」
恋禽「あ…そうだった」
部活動があることを思い出した。
心「ほんと、恋禽って忘れっぽいよね」
本気で呆れているトーンで話すから
「ずびばぜん…」と恐れ入った声で返すしかなかった…。
心「まぁ仕方ない。また今度カラオケ行こう」
恋禽「うん。ありがとう~」
私たちは、その場で別れた。
旧校舎のほうへ歩きながら、私は悩んでいた。
…心は、帰宅部。
中学校では陸上部で、期待のエースだったらしいんだけど
三年生の最後の大会で、転んでけがをして以来
もう走らない、と決めて高校に入ったらしい。
私はもとから、ゆるい部活に入りたいって決めていたから
心と一緒に帰ることができているけど
私の部活がある時
心が公園で走っていることを
私は知っていた。
一体どうすれば、心はやりたいことをやれるのだろう。
私は最近…ずっとこればかり考えて
部活に来ていた。