第3章 ✳第一条✳ まずは見た目の変化から
恋禽「よしっ、できた」
私の声に振り返った柊羽は、目を大きく開いた。
柊羽「お前、やればできるんじゃん…」
大人しめの、清楚な女の子を目標にメイクをした。
派手にはなり過ぎない。けど、どこか惹かれる。
祐介先輩にとって、そう思ってもらえるようになりたい。とメイクをしてみたら、柊羽の言う通りになった。
恋禽「変じゃない?」
柊羽「1回目の時よりは断然いい。まぁ、もっと向上は目指せるな」
柊羽は少し照れながら、褒めてくれた。
恋禽「ありがとう。よし、今日もがんばろっ!」
私はメイク道具をポーチにしまい
柊羽と共に、旧校舎を出た。
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恋禽「お、おはよう」
教室のドアを開けると、まずは視線。
その次に笑い声。
その次に驚きの声。
「あ、あれ?!朝とは別人っ?!」
「てか、普段と違くない?」
「なんか、化粧してるっぽい!」
みんなの声が、数々と聞こえる。
緊張しながらも席に着くと
一番仲のいい「島崎心」が話しかけてきてくれた。
心「恋禽、なんかあった?」
恋禽「え…?何にもないよ?」
心「今日の朝、あんた有名人だったよ?」
恋禽「あぁ…メイクに失敗しちゃって…」
心「そういうことか…。あれ、けど全然いいじゃん。てかいつもより可愛い」
恋禽「ふふ。そう言ってもらえると頑張ったかいがあった」
前髪は目にかかったままだから、みんなからはほとんど変わってないとは思うけれど
心が言ってくれる【いつもより可愛い】は
何故かすごく信頼できた。