第1章 ある夏の日【跡部甘夢】
いつも部活ばかりで二人で遊びに行くことなんて滅多にない…
これってもしかして…
「デートのお誘いですか?」
「じゃなかったら何だ。」
「あの…すごく嬉しいです…。」
あーもう目が見れない!
恥ずかしくて少し俯く。
毎日一緒にいるはずなのに、デートというだけでどうしてこんなに嬉しいのだろう。
「何恥ずかしがってんだよ。」
くくっと喉を鳴らすように笑われても
なんだかそれさえも愛おしい。
繋いでいた手をぎゅっと握り締めた。
「どこ行こう…?」
「場所はもう決めてある。当日までお楽しみだ。」
彼が選ぶ場所に間違いなんてあるはずない。
だって、何処だって彼と一緒ならどこでも楽しいのだから。
顔を上げて頷くと、太陽の影でよく見えない彼の顔が綻んだ気がした。