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モデルのボーダー隊員【ワールドトリガー】

第11章 未来


*迅視点


藤「...トリガー解除」

明希がトリガーを解除した途端、頭を抱えて倒れ込んだ。

迅「明希!」

何かに耐えるような呻き声を発して、苦しそうにもがいている明希に駆け寄ると、一瞬目が合ってすぐに明希の意識が途切れた。力無く横たわる明希を横抱きにして、言われた通り城戸さん達の所に運ぶ。慎重に且つ迅速に。
司令室の扉を乱暴に開ける。中には城戸さんと、タイミング良く忍田さんもいた。

迅「城戸さん!忍田さん!」
城「どうしt...それは、明希か?」
迅「明希が、『僕が倒れた時は城戸さんか忍田さんの所に』って言ったから、急いで連れてきたんだ!」
忍「わかった。至急準備を始める」
城「迅、お前はここで明希と一緒にいてくれ。くれぐれも口外するな」
迅「...了解」

城戸さんの指示を素直に受け入れる。2人が部屋を出てから、客人用ソファに明希を寝かせる。

迅「明希...」

小さな白い手をギュッと握る。捻ればポキッと折れてしまいそうな身体。艶やかで長い黒髪が、元々白い肌を更に白く強調させている。
このままずっと起きないんじゃないかと思わせる程に、今の明希は静かだ。
今の俺はSEが使えない。だから、明希が何時目覚めるか分らないし、もしかしたら本当に目覚めないかもしれない。未来が見えない事がこんなにも不安で、苦しくて、怖い事だと、初めて感じた。今までは見えて当たり前だったから...。
暫くして、準備を終えた忍田さんが戻って来た。

忍「迅。準備が出来たから、明希を運んでほしい」
迅「...了解」

目的地は俺も今まで知らなかった場所だった。遠征艇の倉庫よりも下にある、地下の薄暗い部屋だった。

忍「ここは、明希に頼まれて作っておいた部屋なんだ」
迅「明希に?」

ベッドに明希を寝かせて聞き返す。

城「...明希は昔、1度だけ倒れた事がある。その時は、ボーダーにいた時期だったからこちらで療養していたが、『これからも同じ事が起きないとは限らない。もし同じ事が起きた時には、人から離れた静かな場所で眠っていたい』と言われてな。ここを建てた時に、念の為作っておいたんだ」
迅「...ねぇ、城戸さん。忍田さん。明希が旧ボーダーにいた時の事教えてよ。俺...明希の事何も知らない。」
忍「勿論だが、まずは場所を変えよう」

司令室まで戻ると、何故か玉狛支部員が揃っていた。
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