第6章 入隊
暫く歩いて支部が見えてくると、中学生3人は川の中に建っている建物を珍しそうに見ていた。
迅「ここは昔水質管理をする施設で、使わなくなったのを安く買い取って基地にしたらしい。なかなかいいだろ。」
語っている悠一は心做しか楽しそうだ。
僕は端末を見て、
僕「今は他の隊員は出払ってるみたいだよ」
迅「そっか。じゃあ何人かはいるな」
そう言って中に3人を案内する。
入って最初に出迎えてくれたのは、僕が来た時と同じく玉狛のお子様・林藤陽太郎だ。
僕「陽太郎君・雷神丸、ただいま」
陽「明希ちゃんおかえり!」
迅「ただいま〜。陽太郎、他の奴らは?」
陽「む、新入りか」
迅「新入りかじゃなくて」ポコッ
陽「アベシ」
デジャブ。三雲君達固まってるよ。
すると、2階からパタパタと歩く音が聞こえてきた。
宇「あ、迅さんと明希ちゃんおかえり〜…って、お客さん!?」
迅「よぉ宇佐美。3人ともここの見学に来たんだ」
宇「お客さん来るなら電話してよ〜。お菓子あったかなぁ?」
栞ちゃんはそう言うと、小走りで奥に消えていった。
取り敢えず、ずっとここにいる訳には行かないので、リビングまで案内した。
全員で座って待っていると、栞ちゃんがお茶とお菓子を持ってきた。
宇「今日はどら焼きしかなくて...でも!いいとこのだからすっごく美味しいよ!あ、私は宇佐美栞!ここのオペレーター兼エンジニアだよ!」
元気よく自己紹介をする栞ちゃん。中学生3人も自己紹介をして、遊真君がどら焼きを食べようすると、横から陽太郎君が手を伸ばした。
宇「陽太郎、あんたさっき食べたでしょ」
陽「あまいなしおりちゃん。どら焼きひとつでまんぞくする俺ではない」
そう言った陽太郎君に、本日2度目のチョップが落ちた。やったのは遊真君だ。
空「悪いなチビ助。俺はこのどら焼きと言うやつに興味がある」
陽太郎は恨めしそうに遊真君のどら焼きを見ている。
僕「陽太郎君、僕のあげるから」
陽「ほんとうか!?」
僕「うん。僕最近甘いの控えてるから、食べてくれると嬉しいな」
陽「そ、そういうことなら食べてやらんこともないぞ!」
宇「あんたは何でそんなに偉そうなの」
栞ちゃんを無視して、どら焼きを食べ始める陽太郎君。
美味しそうに食べる陽太郎君を膝に乗せて抱っこすると、悠一が拗ねたような顔をしていた。