第5章 衝突
駅の屋根から突然飛び出した遊真君。明らかにおかしいジャンプ力と、屋根に当たったのに怪我すらしてない事からトリオン体である事がわかる。しかも、身に纏っているのは真っ黒な戦闘スーツのようなもの。
遊真君はボーダー隊員じゃないっぽいから、あれはボーダーのトリガーではなく近界の物。武器を出してないからわからないけど、黒トリガーの可能性も捨てられない。悠一に聞いてみる。
俺「なぁ。遊真君が使ってるのって黒トリガーか?」
迅「よくわかったな。遊真が使ってるのは黒トリガーだ。だけど、誰が黒トリガーになったかまでは本人に聞かないとわからない」
やっぱり黒トリガーなんだ。遊真君がもし有吾さんの息子さんなら、あの黒トリガーは有吾さんの可能性が濃厚だ。有吾さん、偶にフラッとどっか行ったと思ったら近界行ってたとかよくあったし。向こうに友達がいたとしても不思議じゃないし。
有吾さんの昔の事を思い出していると、2発の銃弾が遊真君目掛けて飛んだ。1発は躱したものの、もう1発は右肩に被弾した。
俺「スナイパー2人...三輪隊か」
迅「お、正解〜。よくわかったな」
俺「隊員名簿見たらわかる。近界民を相手に出来る部隊と言えば恐らくA級。尚且つ、スナイパーが二人と言えばA級7位の三輪隊しかいない」
迅「成程ね」
俺「遊真君の加勢に行かなくていいのか?」
迅「言っただろ?遊真は黒トリガーなんだ。あいつら相手に負けないって俺のSEがそう言ってる」
悠一が言ったように、遊真君vs三輪隊の戦闘は遊真君の勝利に終わり、悠一はスナイパーの一人の所へ、俺は構内に降りていく。
俺「遊真君」
空「ふむ。ドチラサマ?」
俺「あー、昨日と格好違うからわかんないか。昨日ベンチまで案内してもらった藤咲明希だ」
空「なんと!昨日のオネーサンだったのか!衝撃の事実」
俺「トリオン体だから髪の長さとか色々変えてあるんだ」
空「成程」
納得してくれた遊真君の後ろを見ると、少し離れた所に秀次と陽介が倒れ伏していた。
俺「2人とも大丈夫か?」
三輪「...誰だ」
米「お兄さん俺たちと知り合い?」
俺「...」
説明するのがめんどくさくなった俺は換装を解く。
僕「これでわかるよね?」
二人『藤咲!?』
換装を解いた僕を見て、2人は驚きの声と表情を露にする。