第4章 夢への旅立ち
見上げた青空に散る桜の花びらは美しくて。
先ほどの、あいつの姿を思い出す。
穏やかに微笑み合う、似合いの夫婦だった。
「ゆきが、背を押してくれたんだ。自分は幸せになるから、って。だから俺は、その気持ちに答えたい。必ず武士になって、あんたと上を目指すさ」
自然と穏やかな笑みがこぼれて。
俺は妙に、晴れやかな気持ちになった。
「トシ…!お前は本当に、いい男だなぁ…!!」
「な、なんだよ勝ちゃん。…ってかなんであんたが泣いてんだ」
「俺は感動した!!よし!!今日はとことん飲もう!!宗次郎たちも試衛館でお前の帰りを待ってる…!!」
「いや、俺は酒はそんなに…」
「トシ!お前の男気に乾杯だっ!!」
「…聞いてねぇし……ま、たまには酒もいいか」
何たって、今日は祝い酒。
幼馴染の幸せを願って、騒がしい試衛館の面々と酒を飲むのを悪くない。
―どうか、幸せに。
試衛館に向かいながら、見上げた青空にもう一度、切に願った…。