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【薄桜鬼】桜花恋語

第4章 夢への旅立ち



それから時は、目まぐるしく移り変わっていく。
ゆきの結婚から三年が経った頃、試衛館に朗報が届く。





―浪士組徴募。




将軍 家茂公上洛の警護先発隊として、浪士組を結成することになったとの、触れが出たのだ。

正式に試衛館道場を継いで近藤勇と名を改めた勝ちゃんをはじめ、試衛館の面々と共に、俺は日野を旅立つ事となる。



出発の日、見送りに来てくれた多摩の人々の中に、ゆきの姿があった。
隣には旦那と、歩き始めたばかりの長男もいて。
彼女の腹の中には、二人目がいるという話も聞いていた。





―あぁ、良かった。





その姿を見て、心から安堵した。

穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ているゆきの姿は、それだけでまた、俺の背を押してくれる。




―ほら、歳さん。時が来たでしょう?

私はこうして幸せになったのだから、今度は貴方の番。

貴方の信じる道を、真っ直ぐに行ってください。








「…あぁ、もう迷わねぇさ」








―何があろうとも必ず、武士になってみせる。







文久三年 二月八日。

歳三は近藤を筆頭に、試衛館の面々と共に京へと旅立った。











…桜花恋語 四話完。
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