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【BLOOD+】meaning of life

第13章 レイム


「辛かったら出て行ってもいいのよ。あなたなら働き口は幾らでもある。私の側にいても不幸になるだけよ」

ある日、私はそう告げた。

レイムは私に良くしてくれる。

レイムに会ったその日から彼に冷たく接するようにした私なのに…。


「俺がいたらダメかな?ナリファイは俺を守ろうとしてくれてるんだろ?最初からなんとなくわかってた」

わかってた!?

じゃあ、なぜ逃げないの?

レイムは全くわかっていない。

ジョエルがどれだけ非道な奴か。


「俺はナリファイを守りたい」

真剣な眼差しで彼はそう宣言した。

「守りたい?私を?」

…どうして?

わけがわからなかった。


「ああ。俺はナリファイの辛い顔を笑顔にしたい」

辛い顔…。

「初めて顔を見た時から、ナリファイは辛い顔をしてた。毎日血まみれで戻ってくる時はもっとだ」


辛くない…。

妹たちを守るためなら…辛いなんて思わない。

「何されているのか俺にはわからない。でも、ナリファイに辛い顔なんてさせたくない」


やめて…。
これ以上言わないで…。
辛くなんかない…!

「私のこと知らないくせに!!私を救うみたいなこと言わないで!!!」


レイムが優しいことはわかっている。

本当に私を思ってくれているのも理解している。

だからこそ私は声を荒げた。

本当の気持ちを出さないように。
レイムに気付かせないために。


「知らない。俺、ナリファイのこと知らないんだ。だから知りたいよ。ナリファイが辛いなら同じ痛みを背負いたい…分かち合いたいんだ、気持ちを」

レイムは作った握り拳に力を込めた。

「私の気持ちなんてわかるわけない」

化け物の気持ちなんか知らなくていい。

ボロが出る前に、弱さが露見する前にこの場から逃げたかった。


「そんな顔して欲しくない。笑ってナリファイ」

いつの間にか私はレイムに抱きしめられていた。
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