第13章 レイム
レイムは暖かくて心地よかった。
「俺、ナリファイが好きだ。だから、ナリファイを知りたい!」
会ってから1年も経っていないはずなのに、レイムは心も体も大きく成長していた。
たくましくなって来たレイムの腕に包まれていると、まるで守られているようで気が緩んだ。
こうならないようにしたかったのに…。
必死に耐えて来たのに…。
私から出るのは大粒の涙と嗚咽、そして本音だった。
「辛い…辛いよ。怖いよ。助けて…」
私は流されるままに全てをレイムに話した。
血のこと、実験のこと、ジョエルのこと、妹たちのこと。
全てをレイムにぶつけ、彼はそれを黙って聞いていた。
「ナリファイはそんなことを14年間も続けられていたんだ…辛かったね」
12歳の少年は私の頭を温かい手でしきりに撫でる。
「俺なんかよりもずっと辛い思いしてたのに…俺を助けてくれた。今度は俺の番だ」
彼の目は純粋そのものだった。
その言葉が嘘であったとしても、いつになるかわからないものだったとしても、再び私の目から涙を流させるには十分だった。
「ありがとう」
この時からレイムという私の落ち着ける場所ができた。