第12章 仕事
えっ?
「今日はこれで許してやる」
私は地面に手をつき、倒れこむ。
「大丈夫!?」
駆け寄ってくるのは少年。
撃たれたのは私。
心臓辺りを貫通した傷から鮮血が滴り落ちる。
痛みはあまりない。
あるのは安堵と悔しさ。
「大丈夫?…ごめんなさい…誰か呼ばなきゃ…医者を!!」
自分のせいだとでも言いたいのだろうか…。
かなり困惑した様子の少年はあたふたと次の行動を模索していた。
「大丈夫。すぐ治るから」
人間ではあり得ない治癒能力が私には備わっている。
大丈夫だと言ったにも関わらず、泣きそうな顔で私を見る少年にわざと傷口を直に見せた。
これを見れば自分とは違う私に恐怖を抱くだろう。
そして、その恐怖でこの場を去るといい。
一刻も早く、少年を逃がしたい。
そう思っていた。
「なっ!?何やってんだよ!」
少年は頬を赤く染めながら目を背けようとしたが、無理やりそれを彼の視界に入れた。
「え…??」
塞がっていく傷を見て、少年は絶句した。
当たり前である。
「ね…?」
大丈夫でしょ?
あなたとは違うの。
そんな意図を込めていた。
早く、ジョエルから離れた方がいい。
「ね…?じゃない!病院に行かないと…幾ら早く治るからってダメだ!!なあ…あんた…医者に見せてやってくれよ…。金は返す、納得いかないなら俺を殺してもいい!!でも…!?」
自分の想像した反応とは全く違うもので温かみを帯びていた。
私は無意識のうちに少年に抱きついていた。