第12章 仕事
あの人たちは何なのだろうか。
あの血は何だったのだろうか。
微かに私の目に映った光景が何度も再生した。
「あれはお前の血だ。闇に息づく者は皆、不死の力が欲しいというからくれてやったんだ」
まるで心を覗いたかのようにジョエルが私の疑問に答えた。
闇に息づく者とは世間一般に公開されていない情報を持つ裏の組織のことだろう。
私たちの研究をしているジョエルもまた、闇に息づく者となる。
その組織の人達に渡した液体が私の血。
だとしたら、ジョエルはどこまでも卑劣だ。
私の血を摂取しても不死にはならない。
待っているのは死。
私の血は毒でしかない。
身体を蝕み、死に追いやる。
そのことは既にジョエル自身が研究で得たことだ。
「バカな奴らだ」
ぼそりと呟いたジョエルの声はひどく恐ろしく感じた。
ボスッという音が不意に隣で響き、少年が駆けて行った。
と、同時にジョエルが焦りだし、少年を捕まえるようにと部下であろう人たちに命ずる。
殺してもかまわんと…。
「お前も追え」
ジョエルは私にも命令を下した。