第4章 沖縄
「いいよ。間違えは誰でもあるし、強ち間違ってはいない。だって私は…」
「え?私は…なんですか?」
サヤの姉だ…そう紡ごうとしたことに今度は私が内心焦りを感じた。
少女は続きが気になると訴えかけているような目線を送ってくる。
ここで素直にいってしまえば楽ではある。
しかし、そんなことをすれば私の存在が明るみに出てしまう。
存在を隠蔽してきたことが無駄になってしまう。
「昔からの知り合いなの」
「えっ!?」
私は咄嗟に明確ではない表現を用いた。
「昔からのということは…小夜が記憶喪失になる前を知ってるんですか!?」
「…ええ」
一応肯定を示してはみたが…記憶喪失とは初耳だ。
目覚めの後、シュヴァリエの血を飲まずに過ごしていたのかもしれない。
だとしたら、赤い盾が関わっている可能性が高い…厄介だな。
厄介ごとは今は避けたい。
しかし、サヤには会わなければならない理由がある。
多少の面倒はしょうがないと意を決する。
「私はサヤから沖縄にいると連絡が届いたの。サヤはどこか知ってる?」
「えっと…サヤは多分いないと思います。」
「いない?」
「はい。家に行ってみますか?」
最初に聞いたこの少女の言葉でなんとなく、もうサヤはいないのではないかと思ったが…。
もしかしたら家に戻ってるかもしれないというわずかな期待を胸に宿して、少女の言葉に甘えることにした。