第4章 沖縄
現在の位置は沖縄。
日本の最西端に位置する島である。
ここまで来るのはとにかく長かった。
ディーヴァの方が距離的には近かったが、まだ目覚めていないため行っても無駄足になる。
そう思ってサヤがいるとされる沖縄に来たが、遠すぎた。
その距離、直線で約10,000km。
長い旅路であった。
通貨を全く持ち合わせていないため、勝手に船や汽車に乗り込むという手段を取らせてもらったが、この際仕方がないと自己肯定した。
「あつい…」
この土地に来てから異常な暑さを感じていた。
蒸すような暑さではなく、単純に陽が照りつけ肌を焼く。
私が時代に似合わずドレスを着ているせいもあるかもしれない。
自身が身につけている薄紫の花が散りばめられた、舞踏会風のドレスを眺めながら思う。
周りからは珍しいものを見るような痛い視線。
目立つし…服を調達しないといけないな…。
「小夜?」
不意に前を通った少女が振り返り、私に向かって言う。
制服から覗く小麦色の肌、一本にまとめた髪。
活発そうな少女である。
「髪伸びたね。それにそのドレスはどうしたの?いつの帰ってきたの!?」
少女は止まらぬ勢いで次々と質問をぶつけてくる。
「私はサヤじゃない…」
「えっ!?」
しばしの沈黙の後、少女はみるみる顔を赤らめていった。
「すみませんでした!」
焦るあまりにペコペコと顔を下げる。
その姿が少しおかしくなって、クスリと笑みをこぼしていた。