第3章 君色(前編)~蒼世~【R15】
私は蒼世が好きだ。だけど告白はできないでいる。いや、もうできるわけがないのだ。
二年前、両親が留守で、私一人で夜を過ごしていた。
そこで処女を失った。――つまり夜這いされたのだ。
男は片手で私の首をつかみ、馬乗りになって、私の全てを暴いた。
恐怖が強く、もちろん抵抗などできなかった私は男にいいようにされた。
その時の男は無表情で、しかしどこか怒りを秘めたような瞳をしていて私の中の恐怖心はさらに強まった。
首を押さえつけられ酸欠気味だったこともあり、そこで私の意識は消えた。
朝起きると、男はいなくなっていた。
私は昨日の出来事を思い出し、布団に包まりながら呆然とした。蒼世以外の人となんて考えられないとずっと思っていた。しかし、昨晩見知らぬ男に襲われたではないか。
このことは誰にも知られてはならない。仲の良い天火や妃子にもだ。もちろん蒼世に知られるなんてあってはならないことだ。
布団から飛び出るとすぐさま体を水で洗い、着替え、布団を干し、何事もなかったかのようにふるまった。