第3章 君色(前編)~蒼世~【R15】
実家の豆腐屋さんでお手伝いをする私は、今日も忙しく働いていた。
私には好きな人がいる。幼馴染の安倍蒼世だ。
今年で24になった私だが、この初恋を引きずっている。
正直痛すぎるかも…。
でも蒼世のことを考えると不思議と幸せな気持ちになれるのだ。恋って本当に不思議だ。
ふと外を見ると見慣れた軍服姿の男がいて、思わず外へ飛び出した。
『こんにちは蒼世!』
「ああ朝乃か。悪いがまだ任務中だ。先を行く。」
『こちらこそお仕事中に声かけてごめんなさい。…お気をつけて!』
ああ失敗。蒼世忙しいのに声かけちゃった。邪魔はしないって決めていたのに。
でも正直嬉しかった。ほんの少しだけど二週間ぶりに会話できた。
今日も蒼世は凛々しくて素敵だ。
私はまたお店の掃除に戻った。