rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第6章 rain of teardrop-6
「おーおー・・・、んな急がなくてもいいのによ・・・ハッ」
脅迫されているという認識すら薄く感じてしまう。
それは彼女が、別のことばかりに気をとられていたから。
どくどくと蠢く、陰部のなかに生きた精液を一刻も早く屠りたい・・・。
その願いが、呆然としていた名無しを唯一、正気と繋いでいた。
「・・―――・・・んく・・」
「・・・!おっと」
名無しが今にも消えそうな擦れた声音でシルバーに件を訴えると、彼はベルトを締めながら視線を名無しに向け、思い出したと言わんばかりの演技くさい態度をとった。
建前上の守る約束、シルバーは確かに薬を持っていた。
何処から出されたのかは見えなかったけれど、名無しは目の前に二列に並んだ錠剤を翳されて、悩む間もなく腕に力を込めそっと伸ばした。
このとき、シルバーのわざとらしい演技も、蔑み楽しんでいる笑みも、名無しが見ることはなかった。
思うのは、これを飲めばひとまずの安心が得られるということただそれだけ。
「?!」
「名無しチャンの番号も手に入れた・・・。好い画も撮れた。帰してももう問題ねえと思ったがー・・・ふふ、・・・ハッ!」
名無しはシルバーに翳された錠剤の並ぶ包みを受け取ると、震える手でそれを口に含んだ。
銀色のそれを破るのも手間取っていたのは、みなまで言わずとも当然なこと。
水など要らない、ただとにかく喉へと押し込みたい。
そして舌に乗せた薬が口腔の奥を滑り落ちて、名無しはそこでようやく、深い息を吸って吐いた。
が――。
「・・・?!・・ッ・・・――な、・・」
「ハハ・・・ッ。オレ様もちろん、ピルは持ってるぜ・・?けど今飲んだソレな・・・!アー・・・、フッ・・まーた悪りぃことしちまった」