rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第36章 the beginning of hell
『なんだァ?立てねえのかよ……しょうがねえな、ほら』
『ッ……大丈夫……っ!!わ……』
『……どこがだよ……ヤワだなぁ、まったくよ』
『っ……』
『……まあ、オレが言うなってやつか。ハハッ』
―――。
――。
「~……うう…ッ」
いつまであの日のことを思い返しているのだろう。
その後も何度か会っていたし、部屋に行って、やることはやっていたというのに。
「……」
それでも、名無しにとってあの日はどこか特別だった。
そもそもが特殊な出会い方をしており、シルバーと過ごしてきた時間を受け入れてゆく覚悟が決まってからも、何を今更といったところではあるのだけれど。
「……ッ」
思い出すのは、これ以上なくシルバーが優しくしてくれたこと。
また槍でも降るんじゃなかろうか……。
今すぐにでも、抱いていた幸せが崩れてゆくのではなかろうか。
そんなことばかり考えてしまうほど、その陰気を紛らわせるために頭のなかで名無しが浮かべるのは、彼のベッドに組み敷かれた、自分を抱くシルバーのことだった。