第1章 STEP BY STEP
そのまましばらく抱き合っていると、宗介さんがポツリと言った。
「・・・・・・こうしてるとお前、ほんとちっこいよなあ」
「そ、それはそう、ですけど・・・」
・・・でも今そんなこと言わなくていいと思う。確かに宗介さんの腕の中にすっぽり入っちゃうけど・・・
「でもまあ・・・俺がでかいし、それでバランスとれてんじゃねえの?」
・・・やっとわかった。宗介さんはさっき私がぶちまけてしまったことについて、言ってくれてるんだ。
「・・・俺はヒカリがいいんだから、それで十分だろ?」
「っ・・・はい・・・」
また涙が出そうになってしまって、それをごまかすように、宗介さんの胸に少し強く頬を押し当てた。
「・・・ヒカリ」
「・・・はい」
宗介さんに名前を呼ばれて、そっと身体を離す。ぎゅっと目を閉じて、宗介さんからのキスを待ったけれど、宗介さんの唇が触れたのは・・・
「っん!・・・・・・」
おでこだった。普通に唇へのキスだと思って目を閉じてしまったのが恥ずかしいし、何より・・・
「え、えっと・・・あの・・・」
「ん?どうかしたか?」
「へ?だ、だから、その・・・」
宗介さんとの距離がすごく近い。吐息が届いてしまいそうなぐらい。
「言っただろ?『言いたいことがあったら言え』って」
宗介さんは私が今まで見た中で、一番じゃないかって思うほどにすごくいじわるな顔をしている。それになんだかすごく楽しそうだ。
キスのおねだりなんて、私にはまだハードルが高いのに、でも、それでも・・・
「っ・・・お、おでこだけじゃなくって・・・ちゃんと・・・・・・キス、してください・・・」
・・・ああ、ちゃんと唇って言わなきゃダメだったかな、またいじわるして今度はほっぺにキス、だったらどうしよう、なんて思ったけど、宗介さんはすぐに望み通りのキスをしてくれた。
「ん・・・・・・」
「・・・もうおしまいでいいか?」
でもやっぱり宗介さんはいじわるだった。もっとしてほしいのなんてわかってるはずなのに・・・
いじわるされてばかりでは悔しいので、今度は私も宗介さんにお返しすることにした。