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いちご☆恋模様 PART2

第10章 嵐の文化祭 その3


「嫌がられてもいい。そのままでいいから・・・俺の話を聞いてくれ」
「・・・・・・」

私は何も答えなかった。それでも宗介さんは、私の腕を掴んだまま、話し出した。

「さっきのあいつは・・・鯨津の・・・東京の高校行ってた時に・・・つきあってた奴だ」
「・・・・・・」

『つきあってた』そう、はっきりと宗介さんが声に出して言うと、苦しいぐらいに胸が痛んだ。

「でももう今は何もない。たまたまこっちに旅行に来たから会いに来たとか言ってて・・・俺も驚いた」
「・・・・・・」
「だから、お前が心配することは何もない」

いつも大好きな宗介さんの低くて優しい声が、まったく心に響いてこない。

「・・・っく・・・じゃ、じゃあ・・」
「・・・ああ」
「じゃあ、なんで・・・っ!なんで、さっきの人と・・・キス、しようとしてたんですか?」

どんなに私が子供っぽくたって、はっきりとわかる。さっき、宗介さんとあの女の人はキスしようとしてた。私が見た時には、もう少し・・・あと10センチぐらいで唇が触れ合ってしまうところだった。

「・・・あれはあいつが勝手にしようとしてきただけだ。俺にはそんな気、まったくなかった」
「・・・・・・首に抱きつかれてたのに、ですか?」
「違う!それもあいつが勝手に・・・」

宗介さんの言っていることは多分、本当なんだと思う。でも、もう頭がぐちゃぐちゃでどうしていいのかわからない。何も考えられない。

「でも・・・昔は・・・あの人ともキス、したんですよね?」

・・・私、何を言い出してるんだろう。こんなこと聞いたら余計に傷つくだけなのに。

「・・・ああ。した」
「・・・・・・・・・」

宗介さんがあの人にキスしているところがリアルに思い浮かんだ。あの人にも、私にしてるみたいに、優しく包み込むようなキス、したんだ・・・


「・・・隠して余計誤解されても困るから、ちゃんと言っとく」
「・・・・・・」

嫌だ、聞きたくない。宗介さんがこれから言おうとしてることが何となくわかる。でも足が動かない。

「あいつとは・・・お前と、その・・・まだしてないこともした・・・たくさん」
「・・・・・・」
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