第1章 STEP BY STEP
私はまだ涙が止まらなくって、一人でしゃくりあげていた。宗介さんは何も言わないし、つき合ってまだ一週間も経ってないのにこれでおわかれかもしれない・・・
「っは・・・はは・・・」
・・・なんだろう。笑い声が聞こえる気がする。
「っは!ははははは!!」
気のせいじゃなかった。そのうち宗介さんは大きな声をあげて笑い出した。
「あ、あの、宗介さん・・・笑うところじゃ・・・」
「いや、わりぃ・・・はははは!」
・・・これは絶対に悪いと思ってない。
「も、もう!私、真剣に悩んでたのに失礼ですよ!!」
「あー・・・悪かった。まあそう怒るな・・・ぶ!ちんちくりんって言葉、久々に聞いたわ・・・はは」
「う〜・・・」
宗介さんはまた私の頭を撫でてくれたけれど、まだ笑いがおさまらないようだ。とても腹立たしいけれど、大好きな大きな手と笑顔に、うっかり許してしまいそうになる。
「・・・いや、相変わらずお前、色々面白えこと考えてんな、と思ってな」
「だ、だから!私にとっては全然面白くないんですってば!」
宗介さんはよく私のことを面白いって言うけれど、今回ばかりは本当に面白くも何ともない。抗議の声を上げると、宗介さんはさっきまでとは違って少しだけ真剣な表情になった。
「・・・そうだな。でもお前にとってはそうでも、俺にとってはお前が一生懸命考えてることって、面白え・・・だと言葉悪いか・・・興味深いんだわ」
「・・・興味深い?」
「ああ、だからな・・・・・・これからは何かあったらちゃんと言え。言いたいこと我慢しないで、全部言ってこい。お前が何を言っても・・・・・・俺はヒカリを嫌いになったりしねえから」
宗介さんの大きな手が再び頭を撫でてくれて、それだけで今度は心が落ち着いてくる。安心できる。
「ほ、ほんとに?」
「・・・おう・・・・・・俺もまあちゃんと言うようにするわ。言葉少ねえってよく言われるからよ」
・・・そっか。まだお互いのことなんて全部知ってるわけじゃないし、これからたくさん話したりしてわかっていけばいいんだ。そのためにはちゃんと本音でぶつからないとダメで。そして、宗介さんは私が何を言っても嫌いにならないって言ってくれた。もちろん、私だって宗介さんのこと、全部受け止めたい。
そっか・・・それでいいんだ・・・