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いちご☆恋模様 PART2

第6章 ジンベエザメの試練 みたび


「・・・よかったぁ、誰にも会わなくって」
「・・・そうだな」


この場合、幸いなのかはよくわからないが、とりあえず俺達は誰にも会うことなく部屋に入ることができた。


「あ!す、すいません、部屋の中濡らしちゃってるかも・・・」
「いい、気にすんな・・・・・・ほら、タオル」
「はい、ありがとうございます・・・」


戸棚からタオルを2枚出して、1枚をヒカリに渡してやる。なるべくヒカリの方を見ないようにして、俺も軽く髪を拭く。



「・・・お前、それじゃ帰れねえだろ。服、乾燥機かけてやる。うちのでかいし、多分すぐ乾くと思う」
「あ、えっと・・・でも、その間の着替えが私・・・」
「俺の貸してやる。待ってろ・・・・・・ほら」
「ありがとうございます」


適当にTシャツとジャージの下を引っ張りだして、ヒカリに渡す。サイズがでかすぎると思うが、少しの間だし、捲ったりしとけば大丈夫かと思う。



「・・・俺、外で着替えるから、終わったら声かけろ」
「へ?あ、は、はい!」


ヒカリの返事を最後まで聞かないで、俺も着替えを手に部屋を出た。



「はぁ・・・・・・」



ドアを背に、大きなため息をつく。


・・・やばい。この状況はこの前とその前、ヒカリんちに二人きりだった時より数段やばい。

なんでこんな日に限って、凛の奴はいねえんだよ、などと思うが、凛にだってヒカリのあんな姿を見せるわけにはいかない。

・・・大丈夫だ、多分。何も起きない。30分もすれば服は乾く。そしたらヒカリに傘を貸してやって、それで家まで送ってやればいつも通りだ。


なるべく余計な思考は排除して、俺も手早く服を着替える。そのまま少し待っていると、中からヒカリの声がした。




『あ、あの!宗介さん、着替え終わりました!』




ひとつ大きく深呼吸してからドアを開ける。



「・・・おう、俺の服でかすぎなか・・・・・・」



部屋の中にいたヒカリの姿を見た途端、また俺の言葉は止まった。
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