第1章 STEP BY STEP
「久しぶり・・・ってほどでもねえだろ。てかお前、いつも来るの早いよな」
「い、いえ!好きで待ってますので!」
そうだよね、地方大会からまだ一週間も経ってないのに久しぶりっていうのもおかしい。それになんか『好き』とか言っちゃったし!
・・・ああ、どうしよう。私、今日はもうずっとダメな気がする・・・
「あー・・・」
宗介さんがまじまじと私のことを見ているのがわかる。顔から火が出そう。逃げ出してしまいたい。もういっそ浴衣なんて着てこなければよかった。
「・・・まあ・・・いい・・・んじゃねえのか」
・・・ほんの少しだけ期待してたけど、宗介さんの反応はまあ、予想の範囲内のそっけないものだった。まあ、逆にものすごく褒められたりしたらそれはそれで私が反応に困るからいいかも・・・でも宗介さん、そっぽを向いてるし、やっぱり少しさみしい、かな・・・
そんな風に思っていたら、私の前に宗介さんの手が差し出された。
「そんじゃまあ、行くか・・・・・・ほら・・・・・・混んでるし、危ねえから」
「はい・・・」
それでも宗介さんと手を繋げることが嬉しい、なんて。ずるいな、なんだかわたしばっかりが宗介さんに振り回されてるみたい。
宗介さんの大きな手を握ると、私達は神社の中へと足を進めた。
「・・・まだ花火まで時間あるし、適当に見て回るか」
「はい・・・」
・・・どうしよう、歩き始めて間もないのに、なんか私、手に汗をかいてきてる気がする・・・こいつ手汗すげーな、とか宗介さんに思われてないだろうか・・・と、隣りの宗介さんをちらっと見上げる。
・・・どうしよう、すごくかっこいい!!
宗介さんのルックスは今まであまり注目してこなかったけど、もしかしても、もしかしなくても、ものすごくかっこいいのかもしれない。背は高いし、身体は水泳で鍛えられてるし、さわやかな黒髪短髪に、きりっとした眉と眠そうな目のアンバランスさ加減とか、もう・・・もう・・・すごくかっこいいんじゃないだろうか(相変わらずボキャブラリーが貧困!)
今日は普通の私服だけど、これで浴衣なんて着てたらもう本当に私、やばかったのではないだろうか。