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いちご☆恋模様 PART2

第1章 STEP BY STEP


今日は花火大会。神社の鳥居の前、少し人混みを避けながら、私は宗介さんを待つ。本当だったらもう少し離れた場所の方が邪魔にならないしいいんだろうけど、わかりやすい場所じゃないと宗介さんが迷子になってしまうかもしれないので、ここになったのだった。

待ち合わせの時間よりも15分ほど早く着いてしまったので、ぼんやりと行き交う人々を眺める。友達同士とか、家族連れとか、恋人同士とかが、みんな連れ立って神社の中へと入っていく。

恋人同士・・・と考えたところで、ぼっと一気に顔が熱くなった。地方大会で宗介さんに『好き』と言われてから数日ぶりに、私達は顔を合わせる。電話はあれから毎日してたけど、やっぱり直接会うとなると全然違う。

あの時の宗介さんの声とか、力強い腕とか、鼓動とか、唇の感触とか、今でも全部リアルに思い出せる。あれからずっとずっと、私の中は宗介さんでいっぱいだ。もうこれ以上ないぐらい大好きだと思ってたのに、それよりももっともっと大好きで。今宗介さんに会ってしまったらどうなってしまうんだろうと不安になるぐらい。


「・・・浴衣、変じゃないかなぁ」


去年までの子供っぽい浴衣じゃ嫌だったから、今年はお母さんにお願いして、少しだけ大人っぽいのを買ってもらった。淡いピンク地に、同系色の花柄が散りばめられていて。いつもは下ろしてる髪も今日はアップにして、可愛い髪飾りもつけた。
綺麗だとか可愛いだとかは、宗介さんの性格的に言ってくれなさそうだけど、せめて似合ってるぐらいは言ってほしいなあ・・・なんて。

でも・・・


「ど、どうしよう?!ちんちくりんのくせに何色気づいてんだ、とか言われたら・・・」


もうすぐ宗介さんに会えるドキドキとかで頭の中がパンクしてしまいそうだ。赤くなっている頬を隠すように両手で押さえながら、不安を思わず声に出してしまっていた。





「ヒカリ。お前、一人で何やってんだ?」

「そそそ、宗介さん!あ、あ、あの!お久しぶりです!!」

いつの間にか宗介さんが私の目の前に立っていた。慌てて挨拶するけれど、変なところを見られてしまったショックと、宗介さんがすぐ近くにいることのドキドキで、声は裏返ってしまうし、もう散々だった。
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