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いちご☆恋模様 PART2

第35章 ジンベエザメの試練 番外編


穏やかな人だと思ったけど、やっぱり娘の彼氏を手放しで歓迎できる父親なんていないんだ。

親父さんの圧力に怯んでしまいそうになるが、俺だって引き下がるわけにいかない。そのために今日はここまで来たんだから。


「確かに・・・ヒカリさんは子供っぽいです」

「ん?」

「あ!い、いえ、それは悪い意味じゃなくって・・・ヒカリさんのいいところだと思ってます」

「・・・いいところ?」

「はい。いつだって素直でまっすぐで、隠し事なんて全然できなくて、俺が思い付かないようなことで必死になってたりして・・・腹が立てば顔真っ赤にして怒って、泣く時は顔ぐちゃぐちゃにして泣いて・・・それで楽しい時は思いっきり笑うんです。ホントに、眩しいぐらいの笑顔で」

「・・・」

「そういうの俺はもうずっとしてないから・・・ヒカリさんと一緒にいると飽きないっていうか・・・あ、いや・・・ホッとするというか楽しいというか・・・」


途中からヒカリの父親は何も言わなくなった。ただ黙って暗い部屋のどこかをぼんやりと見つめているようだった。

冷静になってみれば自分がかなり恥ずかしいことを言っているのがわかるが、今の俺はとにかくヒカリへの気持ちを話すことで必死だった。


「だから俺、ずっとヒカリさんと一緒にいたいと思ってます・・・ずっと大切にしていきたいです」

「・・・・・・」


なんとか自分の気持ちを話し終えた俺は、一息ついて親父さんからの言葉を待つ。親父さんはまだ何も話さない。



・・・いや待て。夢中になって一気に話しちまったけど、俺、最後結構すごいこと言わなかったか?そんなつもりはなかったのに、あれだとまるでヒカリを俺にくれって言ってるようなもんじゃないか?・・・いや、いつかは言うだろうけど、今はその時じゃない。今こんなこと言っちまったら親父さんは・・・・・・



「・・・宗介くん」

「へ・・・あ、は、はい!」


むくりとヒカリの父親が起き上がるのがわかった。俺も反射で同じように布団の上に起き上がる。そして、ヒカリの父親がずいっと俺の方に身体を近付けてくるのがわかった。
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