第35章 ジンベエザメの試練 番外編
あまりに突拍子もない発言に俺は言葉がうまく出てこない。間の抜けた声が出るばかりだ。
・・・いや、そういうつもりが全くねえっていったら嘘になるけど今はそんなこと考えられねえっていうか・・・いや、でもヒカリとなら・・・いや、待て孫とかそんないきなり・・・お袋さんはなんかずっとにこにこしてるし・・・どうしたらいいんだよ・・・・・・!
「ただいまー。宗介くんの服、乾かしてきたよ」
「お母さん、お風呂次・・・・・・きゃあああ!何、宗介さんに見せてるの?!やめてよ、もう!!」
困り果ててたところに、親父さんとヒカリがやってきた。すぐにヒカリの手でアルバムは奪われちまったが、正直ホッとした。あんなこと言われてどう答えていいか、わかるはずがない。その後は、ヒカリが変な写真見てないかとか何度も聞いてきたり、親父さんとお袋さんが順番に風呂に入ったりで、さっきの話はもう蒸し返されることはなかった。
「え・・・・・・」
少し時間が経って、そろそろ寝ようかということになった時、俺はまた言葉を失った。
「僕と一緒に寝るのは嫌・・・かな?」
「あ、嫌とかじゃないんですけど・・・俺、ここのソファーでも大丈夫です」
親父さんが提案してきたのは、ヒカリの部屋にヒカリとお袋さんが寝て、いつも親父さんとお袋さんが寝てる部屋に、俺と親父さんが寝る、というものだった。(ちなみに服が洗濯できてるならやっぱり帰ります、という俺の提案は『もう暗いし危ないから』ということですぐに却下された)
「それじゃあ、ちゃんと寝れないし、風邪をひいてしまうよ。他の部屋は散らかってるし・・・いいよね?宗介くん」
「・・・はい」
こんな言い方をされて嫌だなんて言えるはずがない。俺はおとなしく親父さんの言葉に頷いた。
「・・・・・・はぁ・・・」
ヒカリとお袋さんは2階へ、そして親父さんは1階の寝室へ、それぞれが行ってしまって。一旦トイレに行った後で俺は大きくため息を吐いた。
・・・このまま親父さんとこ行っておやすみなさいって、すぐ寝れるはずねえよな。やっぱなんか言われるんだよな・・・そう思うと覚悟してきたとは言っても気が重い。