第35章 ジンベエザメの試練 番外編
「あら、それいいわね!ぜひそうして?宗介くん・・・あ、でもお父さん、宗介くんパジャマがないわ。お父さんのでも宗介くんには小さいし・・・」
「や、だから俺帰りま・・・」
「ほら、お母さんがこの前間違って大きいサイズのパジャマ買ってきたことあったでしょ?あれなら大丈夫なんじゃないかな・・・はは、お母さん、そそっかしいから」
「やだもう!お父さんったら宗介くんの前で!・・・でもそうね、それなら宗介くんに泊まってもらえるわね」
・・・なるほど。ヒカリがそそっかしいのはお袋さん譲りってわけだな・・・じゃねえ!!
親父さんとお袋さんの間でどんどん話が進んでいってしまい、俺はほとんど口をはさむこともできない。
「さあ、そうと決まったら宗介くんは早くお風呂に入って。本当に風邪をひいてしまうから」
「は、はい・・・」
『そうと決まったら』ってもう決まっちまったのかよ・・・と思ったが、親父さんの静かだけど有無を言わせない口調に俺はもう頷くことしかできなかった。
「宗介さん、ご、ごめんなさい・・・お父さんとお母さん、あんまり人の話聞かないで突っ走っちゃうところあるから・・・」
「あー・・・いや、わかってる。先、風呂入らせてもらうな」
ヒカリが二人に聞こえないような小さな声で俺に謝ってきた。
・・・お前、見た目だけじゃなくって中身も両親にそっくりだな・・・と思ったがそれは俺の心の中にしまっておくことにした。
そして、もう決まっちまったのなら俺も腹を括るしかない。こんなにもすぐにまたヒカリんちに泊まることになるとは思ってもみなかったが・・・
「あ!宗介くん、お風呂の場所教えるわね。あとシャワーの使い方も」
「ああ、大丈夫です。わかりま・・・・・・せん!!!」
・・・あぶねえ!一昨日の夜泊まったんだからわかってるのは当然だが、それを言っちまったらダメだろ!
動揺したせいでなんだかおかしな言い方になっちまったが大丈夫だろうか。