第34章 俺の親友が色ボケしすぎててつらい。
「・・・・・・宗介。お前、ヒカリと結婚でもするのか?」
「はぁあ?!!いや、しねえよ!なんでそういう話になるんだよ!」
「いや・・・親に挨拶って言ったら普通そうなるんじゃねえの?」
「ならねえよ!まだそういう話じゃねえよ!」
・・・あ。こいつどさくさに紛れて『まだ』とか言いやがった。だけど、それを指摘すると余計厄介なことになりそうだから黙っておくことにした。
「・・・で?じゃあ、お前は何のために行くんだよ」
「あ、いや・・・・・・ほら、その・・・」
少し口ごもると、宗介の顔が徐々に赤くなっていく。
・・・なんだかすげー嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
「だからよ・・・嫁入り前の大事な一人娘に、その・・・手出しちまったわけだろ。なんかそのままでいるのも心苦しいっつーか・・・あいつの母親には一回会ったことあるんだけど、父親にはまだ会ったことねえし・・・」
・・・嫌な予感は見事に的中した。
いや、イヴの日にヒカリんちに泊まってくるって時点でそういうことは予想できたし、そもそも付き合ってるんだからそういうことがあって当然なんだけど・・・でもダチのそういうのは聞きたくねえっつーの!!相手が全然知らない女ならともかく、ヒカリは俺もよく知ってるし、なんかこう・・・生々しいっつーの!!
ただでさえ、昨日はハルんちの前でイチャついてる二人に遭遇して、その上キスマークやら爪痕やら見せられて勘弁してくれよ、って思ってたのに・・・
だけど、そんな俺の気持ちにまったく気付かない宗介は更に続ける。
「それにあいつんち共働きだから・・・親いねえ時にこれからも邪魔させてもらうことあるだろうし・・・それなのに挨拶なしで黙ったままっつーのもなんか感じ悪いだろ?」
・・・色ボケ。
・・・ダメだ、こいつ色ボケしすぎておかしくなってる。だって、普段こんなこと言う奴じゃねえし、ヒカリの話だってこっちが聞いてやっと答えるぐらいなのに。
「あー・・・宗介、あのな・・・」
こんなのほとんどノロケ聞かされてるようなもんだ。半ばうんざりしながら『勝手にしろ』そう言おうとした。